埼玉県秩父郡小鹿野町に位置する「須崎旅館」は、創業117年を誇る老舗の宿泊施設です。
秩父は昔から養蚕が盛んであり、各地からまゆを仕入れる商人たちのために宿泊施設が始まったと伝えられています。
明治40年ごろ、初代須崎四郎が呉服店だった建物を購入し、宿泊事業をスタートさせたことから、今でも施設内には、呉服店の面影が点在しています。
さらに、地元出身の小説家・大谷藤子が執筆の際に訪れたと言われ、その趣きある雰囲気が残る風情豊かな旅館として知られています。
時を超えたおもてなしの遺産 須崎旅館の先代からの受け継がれるこころ
「宿泊された方が、この地を訪れてよかったと感じてお帰りいただけるようなおもてなしを心がけています」と女将の須崎真紀子さんは語ります。 先代から受け継がれてきた考え方を大切にし、伝統の心を現代に継承しているといいます。
館内に足を踏み入れると、アンティークな家具が温かく迎えてくれます。
フロントの横には心地よい暖炉があり、宿泊者がくつろげる特別な空間となっています。
囲炉裏を囲んで、明治時代から使用されていた立派な金庫や、電話ボックスが飾られていて、これらの古い家具は普段では見ることのできないものばかりです。
経年変化の美しさを楽しむだけでなく、歴史の息吹を感じさせる貴重なアイテムに旅の疲れが癒されます。
須崎旅館で風情豊かな温泉を楽しもう!
同旅館の露天風呂は、大竜寺源泉(だいりゅうじげんせん)を利用しています。
神経痛や腰痛などに効果的とされる、メタ珪酸・メタ硼酸泉の温泉が楽しめる
「柿の湯」や「柿見の湯」と呼ばれる素晴らしい露天風呂です。
この特別な露天風呂は、「露天風呂に浸かりながら、見上げると美しい柿の木が広がる光景が広がるため、そう呼ばれているのです」とのこと。
そして、この露天風呂は貸し切りで利用できるため、誰にも気兼ねなく、風情豊かな温泉を思う存分楽しむことができます。
須崎旅館の女将が語る新たな挑戦とは
女将は、「ちょこっともてなし隊」(通称:ちょこもて隊)に所属しています。この隊は、小鹿野町観光協会青年部に属する50歳以下の男女がメンバーで、「青年部」だけでは男性中心のイメージがあるため、「ちょこもて隊」に名前を変えました。
ちょこもて隊は、小鹿野町のマップ作成や地元高校との協力イベントなどの計画やサポート活動をしています。
例えば、「竹明かり」や「和傘展示」では小鹿神社に竹でできた灯りを灯し、和傘を飾りつけます。2021年11月7日の「尾ノ内渓谷紅葉まつり」では、ダリア園の協力を得て、美しいフラワーロードをつくりあげたそうです。
私たちの活動は、「小鹿野町を訪れる人たちが、楽しいと思える素敵な地域にしたい」という思いから生まれています。
同時に、大学時代で学んだ心理学を活かし、「子育て中のお母さんが安心できるコミュニティをつくりたい」と、これからも旅館経営や町の活動に積極的に取り組んでいきたいとのことでした。